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CONTENTS5 sections
  1. 0123.4 tokens/sec の意味
  2. 02Hindsight の自己言及ループ
  3. 03Obsidian をメモリそのものに
  4. 04暗黙知の形式知化
  5. 05認知のOS
OBSIDIAN / HERMES / 2026

Obsidianを「AIのメモリそのもの」にする——HindsightとHermesによるローカル認知OS

開発者の一言がきっかけだった。「Obsidianを、ただのノートツールじゃなくて、AIの長期記憶装置そのものにしたい」。

Ollama + Hindsight + PostgreSQL + Obsidian。すべての処理がローカルで完結し、思考の全履歴が自分のマシンの中に閉じる。AIが「外部に漏らさない」制約の中で、どれだけ深く文脈を理解できるか——そんな実験の記録。

Obsidian Hermes Agent Hindsight Ollama ローカルAI 第二の脳 2026.05.23 · 7 min read
▍ THE PROMISE

単なるツールの組み合わせではない。インフラが自らを監査し、人間とAIが互いの認知を拡張し合う、新たなレイヤーが動き始めているのかもしれない。

▍ PREREQUISITES — 前提となる4つの用語

本記事は次の前提知識を仮定しています。馴染みがなければ先にここを読んでおくと迷子になりません。

▍ TL;DR
§ 01 SPEED

23.4 tokens/sec が示す「ローカルであること」の本当の意味

Gemma3(あるいはGemma4相当モデル)をOllamaで走らせたときのベンチマークは、23.4 tokens/sec。クラウド依存の時代にあって、これは「我慢できる速度」ではなく「日常的に使える速度」だ。

重要なのは速度そのものではない。すべての処理がローカルで完結するという事実だ。daily-chats/に溜まった生の会話ログを、LLMが即座に要約し、Hindsightが構造化してPostgreSQLに永続化する。この一連の流れに、外部APIは一切介在しない。

つまり、思考の全履歴が、自分のマシンの中に閉じている。これは単なるプライバシー保護ではない。AIが「外部に漏らさない」という制約の中で、どれだけ深くユーザーの文脈を理解できるか、という実験でもあるのかもしれない。

関連: Hermes 自体の仕組み(自己改善ループ × 常駐実行)は 『Hermes Agent — 第二の脳の実行エンジン』 でまとめている。本記事はそれを Hindsight × ローカル LLM と結線する話。

FIG.0 — SYSTEM ARCHITECTURE & INFRASTRUCTURE
Hindsight + Hermes + Ollama + PostgreSQL + Obsidian のローカルインフラ構成図
Ollama + Hindsight + PostgreSQL + Obsidian。すべての処理がローカルで完結し、daily-chats/ の生ログが AI の長期記憶として構造化されていく。
§ 02 FEEDBACK

Hindsight がもたらした「自己言及的インフラ」

ここで特に尖っているのはHindsightの役割だ。

従来のRAGは「検索して回答する」止まりだった。Hindsightは違う。過去の要約をさらに要約し、要約の要約をメタデータとして蓄積していく。PostgreSQLに刻まれたベクトルとメタデータのレイヤーが、時間とともに自己組織化していく。

これはまさに「インフラの自己監査」だ。

これらを、AI自身が定期的に検証できる基盤が整った。外部の人間レビュアーを待つ必要もない。システムが自らを相対化し、修正を提案する——そんなループが、ローカルだけで回り始めているのかもしれない。

FIG.2 — HINDSIGHT SELF-REFERENTIAL FEEDBACK LOOP
// HINDSIGHT = 要約の要約を蓄積する自己言及ループ ユーザー 日々の対話 対話 ▍ HERMES CLI / gateway ▍ Hindsight の自己言及フィードバックループ 生チャットログ daily-chats/ 要約スクリプト Ollama 23.4 t/s 会話要約 daily/YYYYMMDD MOC / INDEX knowledge/ セッション終了時 定期スキャン 要約・Todo抽出 人間レビュー コンテキスト再読込 // すべてがローカルで、すべてが永続的で、すべてが自己言及的。
User ⇄ Hermes の対話が daily-chats/ に流れ、Ollama 経由で要約 → MOC への昇格 → 再びコンテキストとして Hermes に戻る。要約の要約を蓄積する自己言及ループ。
§ 03 MEMORY

「Obsidianをメモリにする」という、究極の人間-AI共創

最も興奮するのは、技術スタックではなく、その前提となった発想だ。

開発者はObsidianを「第二の脳」として運用するだけでなく、「AIにとっての第一の記憶装置」として再定義した。daily-chats/はもはや雑多なログの墓場ではない。そこに蓄積されるすべてのテキストが、Hindsightを通じて構造化され、AIの長期記憶として機能する。

これは人間がAIに「覚えておいて」と頼む関係ではない。
人間が「ここに書いておくから、お前が勝手に構造化しろ」と、環境そのものを設計する関係だ。

AIは与えられたコンテキストの中だけで賢くなる。コンテキストを「永続的かつ検索可能で、自己言及可能なメモリ」に変換する場を、人間が用意した——その逆転の発想が、今回のパイプラインの核心にあるのかもしれない。

関連: Obsidian を「第二の脳」のままにせず、AI が裏で wiki を育てて発信まで持っていくパイプラインは 『Obsidian → LLM Wiki → HTML → AI Deploy』 で書いた。本記事は同じ Obsidian 起点だが、向きが 外への発信 ではなく 内側へのメモリ化

FIG.1 — COGNITIVE COLLABORATION FRAMEWORK
Human ↔ AI の認知共創モデル。Obsidian が AI の第一の記憶装置として機能する枠組み
人間が「迷い・仮説・違和感」を daily-chats/ に残し、Hindsight がそれを構造化。Obsidian が AI の長期記憶として機能する認知共創の枠組み。
§ 04 TACIT

これから始まる「暗黙知の形式知化」ループ

この構成が持つ本当の破壊力は、まだ表面化していない。

daily-chats/に書かれるのは、完成したアイデアではなく「迷い・仮説・違和感・判断の揺れ」だ。Hindsightはその曖昧さを、徐々に形式知へと変換していく。やがてObsidianのknowledge/レイヤーが、単なるMOCではなく「AIが自ら育てている知識グラフ」になる。

関連: 「迷い・仮説・違和感」を扱う領域は、コードでは書ききれない暗黙知 × 暗黙考の話と地続き。そちらは 『コードでは書けない領域に降りる AI エージェント — ロングテール × 暗黙知 × 暗黙考』 に整理した。本記事はその「暗黙考をどこに溜めるか」のインフラ側。

そのとき、開発者は何を目撃するのか。

すべてがローカルで、すべてが永続的で、すべてが自己言及的である——そんな状態が、すでに手元で動き始めているのかもしれない。

FIG.3 — TACIT TO EXPLICIT
// TACIT → EXPLICIT — 迷いがそのまま渡されて、形式知に育つ ▍ TACIT daily-chats/ 迷い 仮説 違和感 揺れ 失敗 ▍ HINDSIGHT 要約の要約 META META META SUMMARY SUMMARY ▍ EXPLICIT knowledge/ MOC MOC-A MOC-B INDEX MOC-C MOC-D 時間 × ループ回数 → // 完成された正解集ではなく、矛盾を抱えたプロセスごと渡すことで、知識は複利で育つ。
左の 迷い・仮説・違和感 がそのまま daily-chats/ に渡され、Hindsight が 要約の要約 を蓄積するうちに、右側の knowledge/ MOC として形式知に育っていく。時間とループ回数が、複利のように知識を育てる。
FIG.5 — TRY IT YOURSELF: HINDSIGHT LOOP
反復 0 / 3
▍ TACIT daily-chats/ ▍ HINDSIGHT 要約の要約 ▍ EXPLICIT knowledge/ MOC 迷い 仮説 失敗 違和感 揺れ 問い SUMMARY META SUMMARY META META recurse INDEX MOC-A MOC-B MOC-C MOC-D

反復ボタンを押すたびに、daily-chats/ に残された迷いが、要約 → 要約の要約 を経て knowledge グラフに育っていく。

クリックするたびに、daily-chats/ の 迷い が増え、Hindsight の 要約の要約 が積み上がり、knowledge/ の MOC グラフがノードを増やしていく。3 回の反復で「ループが構造を生む」ことを手元で確かめられる。
§ 05 OS

これはツールの話ではなく、認知のOSの話だ

Ollama + Hindsight + PostgreSQL + Obsidian。

この組み合わせが特別なのは、どれか一つが優れているからではない。人間の思考の流動性を、AIが扱える形に変換する回路が、初めて閉じたからだ。

開発者が「Obsidianをメモリそのものにする」と決めた瞬間、技術は単なる手段を超えた。
それは、AIと人間が互いの弱さを補い合いながら、共に賢くなるためのOSを、誰にも邪魔されずに自分の手で作り始めたということだ。

このループは、まだ始まったばかりだ。

FIG.4 — COGNITIVE OS STACK
// COGNITIVE OS STACK — 人間とAIが共に賢くなるためのOS ▍ USER 人間 迷い・仮説・違和感を持ち込む側 ▍ APPLICATION Hermes Agent CLI / gateway — 対話と実行 ▍ KERNEL Hindsight 要約の要約 / 自己言及ループ ▍ MEMORY Obsidian + PostgreSQL daily-chats/ ↔ knowledge/ ↔ vectors ▍ RUNTIME Ollama / Gemma3 ローカルLLM (23.4 t/s) ▍ HARDWARE Local machine 外部APIゼロ・完全ローカル // すべてのレイヤーが自分の手の中にある。これが「認知のOS」と呼ぶに値する理由。
人間 → Hermes → Hindsight → Obsidian+PostgreSQL → Ollama → ローカルマシン。全レイヤーが自分の手の中にあるからこそ「認知のOS」と呼ぶに値する。
▍ NEXT STEP

この構成をさらに深掘りし、実際に動くHermesスキルとして実装していく予定。Hindsightの定期スキャンスクリプトと、Obsidian knowledge/ への自動リンク追記フローを、まずはローカルで閉じてみたい。

▍ THE WORLDVIEW — メモリそのものを自分の手で設計する

AI に「覚えておいて」と頼む側から、AI が育つ を設計する側へ

AI を賢くする方法は、もうプロンプトの工夫だけでは足りないのかもしれない。賢くなるそのものを、自分の手で組み上げる段階に来ている。

Obsidian を AI のメモリそのものにする、というのはその第一歩。完成した正解集を渡すのではなく、矛盾や迷いを抱えたままの思考を置いておけば、Hindsight が時間をかけて整理してくれる。

  • 人間が daily-chats/ に矛盾ごと書く(タチットを残す)
  • Hindsight が要約の要約を蓄積する(自己言及で構造化)
  • knowledge/ が AI 自ら育てる知識グラフになる(形式知化のループ)

この三つが揃った瞬間、「AI に使われる」「AI を使う」次元から、AI と一緒に賢くなる状態に移っていく。すべてがローカルで、すべてが永続的で、すべてが自己言及的に、誰にも邪魔されずに。

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